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耳の大きさは器の大きさ!?
2013年12月13日
「偉い人はみんな耳が大きいだろう?人の話をちゃんと聞くために耳が大きくできているんだよ」
幼い頃、母が私に言った言葉です。
深い意味はなく、
たまたまテレビに映った田中角栄の映像を見て、
思わず口をついた言葉だったと思うのですが、
「ある意味、本質をついた言葉だったな」と感じることが多いです。
ということで今回は、
人の話を聞く、
をテーマに述べていきたいと思います。
これまで、仕事を通じて様々な経営者の方々にお会いしてきました。
大変幸運なことに素晴らしい方々との出会いがほとんどでした。
そんな中、私が敬遠したくなった経営者が1人だけいました。
その人は、
とてつもなく「傲慢」な経営者でした。
別の言い方をすると、こういう人でした・・・。
「人の話を聞こうとせず、自分は正しい、というスタンスを絶対に崩さない」
コンサルタントは、
その会社で働いているわけではないので、
あくまでもヒアリングした事項、提供してもらった資料、同業他社の参考情報などに基づいて、問題点を抽出し、改善提案を行います。
その経営者は何を言っても次のような姿勢を崩そうとはしませんでした。
「自分は正しい。自分の考えや行おうとしていることは間違っていない」
「仮に何かがうまくいっていないとすれば、それは自分が悪いからではない」
「社員の能力が低いことに原因がある」
「自分の言うことを理解しない。或いは理解できない社員が悪い」
「だから社員を教育する必要がある」
うまくいかないことを「社員の能力が低いから」と一刀両断する経営者に、
能力の高い人が付いていくわけがありません。
「うまくいかないのは全て自分に責任がある」
と謙虚になれないその経営者のマインドこそが、
その会社における最大の問題点だと感じました。
その会社は、明らかにマーケティング面に大きな問題を抱えていました。
マーケティング面の数値的な評価基準は、新規顧客の問い合わせ件数。
新規の問い合わせ件数が減少しているということは、外部環境の変動を考慮しないとすると以下の2つのいずれかに原因があるはずです。
①現状のマーケティング活動における量的な要素が不足している
②現状のマーケティング内容における質的な要素に不備がある
この観点で深堀し、原因を追及することで改善の方向性を見出そうと考え、
マーケティング面についてその経営者にヒアリングしようとしたとき、
私の話を遮り、強い口調でこのように言われました。
「うちはマーケティング面については、何の問題もないから。他のことを聞いてくれ」
一瞬、沈黙が走りました・・。
そして私が、
「そう仰いますが、現在の状況から仮説を立てて考えた場合・・・・」
と説明しようとすると、
さらに私の話を遮り、強い口調で、
「マーケティング面は問題ないって言っているでしょ。私が具体的な指示を出している領域だから。これ以上、へたにマーケティングにコストをかけても、質の悪い問い合わせ件数が増えるだけだから。それより社員の成長が遅いことの方が問題なんだ」
人の話を聞く、
人の話を聞いてみる、
ひょっとしたら自分は間違っているのではないか?
と疑問を持ってみる。
人間には謙虚さが必要ですね。
私はどうすべきか悩みましたが、
医者と患者に置き換えて考えることで結論を出すことができました。
<医者と患者>
病院にある患者さんが来ました。
医者:「どうしました?」
患者:「仕事が忙しくて、疲れすぎて体がだるいんです。」
医者:「体がだるい?」
患者:「はい。きっと忙しいからだと思います。よく寝たら治ると思うので、リラックスできる薬や睡眠薬がほしいんです。」
医者:「体がだるいのは、忙しいことが原因だとは決めつけられませんよ。」
患者:「体は何の問題もないんです。悪いのはこんなに疲れるまで働かせる会社なんです。寝れば治るから薬ください。」
医者:「だから、その体のだるさの原因がどこにあるのかをちゃんと検査して・・・」
患者:「検査はしなくていいです。働き過ぎが原因だってさっきから言ってるでしょ!!」
医者:「・・・・・・・」
医者からすれば相手にしてられないですよね。
これと同じ。
聞く耳を持たない人には何も言う気がしなくなる。
あたりまえですよね。
だからほっておくことにしました。
経営の神様、松下幸之助氏は仰いました。
「衆知を集めなさい」
聞く耳を持たない経営者のもとに、社員を見下す経営者のもとに、衆知が集まることはありません。
「誰が言っているか」ではなく、
「何を言っているか」という謙虚な姿勢で、
社内・社外から多くの声を集めることができる経営者が、
一流の経営者だと思います。
みなさん。
人の話を聞きましょう。
謙虚な姿勢を心がけましょう。
私も気をつけます・・・。
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